悠久の風に吹かれて

Blowin' in the Eternal Wind

インド旅行5 ブバネーシュワル

今日は朝からブバネーシュワルに向かいます。

ブバネーシュワルへ

ブバネーシュワルとは聞きなれない都市だと思いますが、実際私もインドのことを本格的に調べるまで知りませんでした。ブバネーシュワルとはインド中東部に位置するオリッサ州の州都です。その都市としての歴史は古く、紀元前に存在したカリンガ国の古都だったそうです。その長い歴史もあって、ブバネーシュワルには古いヒンドゥ教寺院が多数残っているんです。日本で言うと、京都か奈良といったところでしょうか?私は当初コナーラクのスーリヤ寺院に行くための中継所くらいに考えていたのですが、前述したヒンドゥー教寺院の存在を知り、それらを観光するために、少し滞在することにしました。

 

デリーのメトロ駅

 

ホテルをチェックアウトして、明るいところで改めてホテルの外観を見てちょっとびっくりします。とてもホテルとは思えない…。昨日、暗い中あれだけ迷ったのも仕方ない、と納得します。気を取り直してメトロの駅まで歩いて行きました。徒歩5分でメトロの駅はすぐに見つかりました。券売機でトークンという丸いプラスチックのチップを購入します。このトークンを自動改札機に読み取らせて駅構内に入場するシステムです。メトロ自体は最近できたもののようで、駅も車両も比較的新しくて快適でした。何でも、デリーのメトロは日本が資金、技術面で協力したそうです。10分ほどで Indigo Terminal 1 IGI Airport 駅(国内線ターミナル駅)に到着しました。駅から空港まではあちこちで工事していましたが、人の流れについていくと無事空港に着きました。

 

空港ラウンジでの朝食

 

国内線ターミナルは、デリー到着時にも来ているので、勝手がわかっています。相変わらず厳重なセキュリティ・チェックが終わると、2階のラウンジに行って、軽く食事をしました。そのあと搭乗口に行きました。今回利用するのは IndiGo です。国内線ですが、使用航空機はエアバスA320ジェット機です。無事定刻通りに航空機は離陸しました。この後の旅行でインド国内の長距離移動はすべて IndiGo を利用しましたが、目立った遅延もなく信頼できる航空会社だと思いました。

 

IndiGoの航空機

 

ブバネーシュワル空港に到着しました。この空港も新しくてきれいに整備されています。到着ゲートをから外に出ると、タクシーのドライバーが「どこへ行くんだ?俺のタクシーに乗って行け」と売り込んできましたが、「リキシャに乗るので」とあまり相手しませんでした。しかし、すっと後をついてくるのでATMのボックスに入り両替する間に振り切ろうと思いました。しかし、両替が終わってもドライバーは表で待っていました。根負けして、500ルピーでホテルまで送ってもらいましたが、距離の割に高かったと思いました。

 

ブバネーシュワル空港

 

宿泊するのは Hotel Pushpak というホテルです。このホテルを選んだのは、寺院がたくさんある旧市街に近かったからです。建物は結構年季が入っていますが、ホテルの共用部分や部屋はきれいでした。何よりも、部屋には冷蔵庫がありました。電源を入れるとブーンという音がし、冷蔵庫の周りが熱を持ってきて、おまけにあんまり冷えないものでしたが、冷蔵庫があるだけで有難い。ちなみに私が宿泊したインドのホテルで、部屋に冷蔵庫があったのは、このホテルだけでした。

 

 

Hotel Pushpakの外観と部屋

 

寺院の観光へ出発

13時頃ホテルに到着し、少しホテルで休憩しました。Google Map で確認すると2km離れたところに寺院群があるようなので、徒歩で観光に行くことにします。まず、ホテルから一番近いラージャラーニー寺院を目指しました。結構交通量の多い幹線道路を歩いて行ったのですが、車のクラクションがうるさいこと。とりあえず鳴らしとけ、みたいな感じでほぼすべての車がひっきりなしにクラクションを鳴らしながら走っています。

 

幹線から曲がった所の道路の様子

 

30分ほど歩いてラージャラーニー寺院に到着しました。この寺院はブバネーシュワルでは珍しく拝観料をとられました。受付に人がいて、また例のQRコードを見せられて、これで料金を払ってくれと言われましたが、ネット環境が怪しかったので、なんとか現金払いにしてもらいました。300ルピーと寺院の規模のわりに結構な値段です。ラージャラーニー寺院はシカラとマンダバだけの単純な構成ですが、シカラはよりトウモロコシ感が強くなっています。また細部の装飾の彫刻は、カジュラホの寺院とは少し様式が違う、精緻なものになっているのが印象的でした。この寺院にはあちこちに照明のようなものが設置されていました。気になったので帰りに係の人に聞くと夜はライトアップされるとのことで、これはもう一度明日の晩に来てみようと思いました。

 

 

ラージャラーニー寺院の外観と彫刻

 

次に500mほど離れたムクテーシュワラ寺院に行きました。この寺院は規模こそ小さいのですが、内容はとても充実したものでした。ヒンドゥー教の寺院には珍しいアーチ型の門やシカラにはすさまじく精巧な彫刻が施されています。寺院の裏には小さな池があり、池の対面から見る寺院のたたずまいが最高です。こんな素晴らしい寺院が世界遺産にも指定されず、無料で拝観できるとは、と感無量でした。この寺院を見れただけでもブバネーシュワルに来た甲斐がありました。寺院の詳細については、また別項で触れたいと思います。

 

ムクテーシュワラ寺院の外観と彫刻

 

素晴らしい遺跡に夢中になって写真を撮っていたのですが、ついでに自撮り棒をだしてセルフ・ポートレートも撮っている時、警備員の人が飛んできて「自撮り棒を使っちゃいかん!」と怒られてしまいました。どうやらインドでは自撮り棒はかなり嫌われているようですね。日も暮れかけてきたので、後ろ髪をひかれましたが寺院を後にしました。

 

自撮りする筆者と近づいてくる警備員

 

帰りは別のルートを通って帰り、別の2つの寺院に寄って帰ることにしました。二つめの Bharateswara 寺院でモデルっぽい女の人が撮影していました。遺跡とサリーを着た女の人の対比がとても素敵だったので、私も声をかけて写真を撮らしてもらいました。

 

 

Bharateswara 寺院にて

 

その後歩いてホテルに戻りました。歩き疲れたので、夕食はホテルのレストランでとることにしました。レストランに行って席につきメニューをもらうと、まずビールをオーダーしました。しかし、給仕の人にここではビールが飲めないのでこちらへどうぞと言われ店の奥にあるドアの方に案内されました。

 

ドアを開けるとそこは、照明が落とされて壁面のモニターでスポーツ中継を流しているバーになっていました。インドでは、飲酒や喫煙は、ヒンドゥー教の戒律のせいもあってあまり良く思われていないようです。特に北部の州では厳しく、法律で禁酒が定められている州もあります。実はカジュラホのホテルではビールを頼んでいたのですが、ホテルの人が融通をきかせ、その都度どこかに買いに行って出してくれてたようなんです。ブバネーシュワルではレストランで酒類を出すことはできず、決められたバーなどの場所でしかお酒を飲めないんです。バーの席につき、ビールとチキンカレーをオーダーしました。インドは食べ物も宗教の戒律上菜食しか食べない人がいるので、レストランがベジタリアン向けとノン・ベジに分かれています。それに比べると、いつでもどこでも飲酒でき、なんでも食べられる日本はとても自由だなと実感しました。いや、それとも日本人が堕落しているのでしょうか?