悠久の風に吹かれて

Blowin' in the Eternal Wind

インド旅行 番外編 バンコク寺院観光

バンコク市内を観光しました

チェンナイをタイ航空の深夜便で出発しスワンナプーム空港に到着しました。そしてバンコクでで3日ほど滞在しました。私がバンコクに初めてきたのはおよそ20年ほど前ですが、その時には市内の鉄道はBTS高架鉄道)だけで、空港から市内に行くのも、王宮などの主要な観光地に行くのも、タクシーやトゥクトゥクを利用する必要がありました。しかもタクシーは悪徳業者が多く、メーターを使わなかったり、遠回りされたりするのが日常茶飯事でした。

 

しかし、10年ほど前にエアポートリンクという空港から市内までの鉄道路線が開通し、その路線に接続するMRT(メトロ)もできました。MRTの路線もここ数年のうちにどんどん延伸して、今やほとんどの場所に鉄道で行くことができるようになりました。バンコクは外国人の旅行者が多い場所で、ホテルも高級まものからリーズナブルなものまで多数あり、レストランもタイ料理、中華料理、日本料理と各国の味が楽しめます。巨大なショッピングセンターも各地にできており、スーパー銭湯まであるんです。もうほとんで日本にいるのとと変わらないくらいです。何事も一筋縄ではいかないインド旅行で疲れた体を癒すには格好の場所です。ただバンコクもずいぶん物価が高くなってしまって、円安との相乗効果もあって、以前ほど経済的なメリットがなくなってしまったのが少し残念ですね。ここでは今回観光したバンコクの寺院とショッピングスポットをご紹介したいと思います。

ワット・スッティ・ワラーラーム

まずはワット・スッティ・ワラーラーム [WAT SUTTHI WARARAM] という寺院です。ここは寺院内に美しい彫刻とか、壁画があるそうで興味を持ちました。場所はチャオプラヤー川の近くにあります。まず、BTSのサパーン・タクシン駅まで行って、そこから歩いて15分ほどで到着しました。

 

寺院の外観

 

寺院の規模はそんなに大きくなくて、タイの近代的な様式でカラフルな色彩の本堂です。本堂のまわりはちょっとした庭園になっており、そこにタイの神像の彫刻が安置されています。タイは日本と同じ仏教が中心の国で、国民の95%が仏教徒だそうです。しかし日本の大乗仏教に対して、タイは小乗仏教上座部仏教)で国内に30万人いるとされる僧侶はとても尊敬されているそうです。

 

仏像の彫刻を見てみると、お釈迦様の像は日本と似たような感じですが、獣面の何やら恐ろしそうな神様もいます。どうやらヒンドゥー教の影響を受けているようです。タイでは寺院も神様も金や赤などの原色で煌びやかな雰囲気のものが多いのですが、この寺院の彫像はすべて白で統一されていて新鮮な感じがしました。単色なので、サーフェーサーを吹いたようで、繊細な彫刻の細部がより分かりやすくなっています。

 

仏像の彫刻

 

階段を上がって寺院の2階に上がりました。その本堂内の礼拝堂は、寺院らしからぬ赤を基調にした空間になっていて、高い天井からはシャンデリアのようなものもあります。そしてそこには仏教をテーマとしたたくさんの現代美術風の絵画が展示されていました。

 

寺院の内観

 

それぞれの絵画は曼荼羅とか人間の一生とかブッダとかのモチーフなのですが、細部がタイ独特様式の更紗文様になっています。ひとつひとつ細かい部分まで見ていると、絵画の中に吸い込まれるような感覚も感じて飽きることがありません。これらの絵画と色彩、本尊の釈迦様などがあいまって静謐な空間を構成しています。これは伝統的な宗教文化を現代の文脈で再構成した、新しい試みだと思いすごく感服しました。見に来てすごくよかったと思いました。

堂内に展示されている絵画

ワット・パークナム・パーシーチャルーン

もう一つの寺院はワット・パークナム・パーシーチャルーン [Wat Paknam Phasicharoen]です。ここは本堂の空間がインスタ映えすると、最近話題になっている寺院です。こちらの寺院はチャオプラヤー川の西側5kmほど場所にあり、私はメトロでい行ってみました。MRTブルーラインに乗って Bang Phai 駅へ向かいました。MRTはこの駅のあたりでは地上に出て高架を走っているので、列車の窓から南側を見ていると遠目に金色の大仏と白い仏塔が見えました。

 

黄金の大仏

 

Bang Phai 駅を降りて民家の立ち並ぶ狭い道を10分ほど歩くと小さな川にでて、そこにかかる橋を渡ると間もなくワット・パークナム・パーシーチャルーンに到着しました。この寺院はかなり大規模な敷地を持ち、境内は参拝者でごった返していました。何も考えずに人の流れについていくと、いつの間にか仏教徒たちがお祈りする建物の中に入ってしまっていました。一度建物をでて川沿いまで行くと、そこは広場になっており金色の大仏が鎮座したいました。高さ69m、両ひざの間40mでなるほど巨大です。近くにいくと圧倒的な存在感がありますが、全体的にややのっぺりしており、造形は少し物足りない感じがします。

 

 

この大仏の横を通り抜けると、背後にコンクリートで造られたこれまた巨大な仏塔があります。この仏塔は80mの高さがあり、内部は5階建てで、2階から4階は仏像などの展示室、最上部の5階が仏塔と天井画がある瞑想室になっています。

 

3階の仏像の展示

 

2階の入口から入場して、そこからさらに5階まで階段を上がります。そしてたどり着いた瞑想室は、中央にエメラルドグリーンのガラスでできた高さ10mほどの仏塔があり、ドーム型になった天井に描かれた宇宙を表す天井画と相まって、独特の瞑想空間を作り上げています。グリーンと金、赤、ブルーの原色を組み合わせた華麗な色彩は、日本人にはとても思いつかないものだと感じました。先のワット・スッティ・ワラーラームにも見られた、現代美術と仏教の融合は最近のタイのトレンドになっているようです。また機会があれば、タイの他の寺院も見てみたいものです。

 

瞑想室内部と展望台

メガプラザ

次にバンコクに来た時に買い物するためにいつも立ち寄るメガプラザというビルをご紹介します。主におもちゃやフィギュアなどを売っている店が入っているビルで、日本でいうと秋葉原ラジオ会館みたいなところです。場所は、チャイナタウンからヤワラート通りを西の方に進み、運河をこえてすぐの交差点のところにあります。バンコクに詳しい人は知っていると思いますが、実は昔この運河の上に多数のバラックが建っており、サパーレックと呼ばれていました。そこは世界最強の海賊市場といわれ、ファミコンやプレステなどの海賊ゲーム、アダルトDVD、フィギュアなどを売っていた違法ゾーンだったんです。2015年にサパーレックは取り壊され、現在は整備されてきれいな遊歩道になっています。2013年にメガプラザがオープンしたそうですが、当初はテナントが少なくガラガラだったそうです。しかしサパーレックが閉鎖した時に、追い出された業者がメガプラザに入居したそうです。そういう経緯があったため、現在でもこのビルには昔の海賊市場の違法な香りが残っているような気がします。

 

メガプラザ外観

 

MRTができたため、行きかたはとても簡単です。MRTブルーラインに乗って Sam Yot 駅で降り、そこから歩いて5分ほどで到着です。メガプラザは5、6階建てになっており、ゲーム機、フィギュア、デジカメ、モデルガン、ブロック玩具、その他のおもちゃ、などの店が、各階にこれでもかと、いうくらい詰め込まれています。

 

メガプラザ内部の様子

 

私はLEGOブロックが好きなので、いつもそれらを売っている店を中心に見てまわっています。しかし、LEGOブロックといっても本物が売っているわけではなく、ほとんどがパチもん、いわゆるLEGOブロック互換商品というヤツです。LEGOブロック自体の特許は1998年に切れているので、互換ブロック自体を販売することは違法ではありません。しかしここで売られている、互換ブロックを観察すると、以下の2種類に大きく分類できます。

[1] LEGOの製品をモデルやインストラクションを含めてコピーした商品

[2] LEGOブロックを使ってオリジナルモデルを商品化したもの

[1] はもちろん版権的に違法になりますが、単に安くて精度が悪いだけのコピー商品なので面白みが少ないです。一方、[2] の内容を詳しく見てみると

[2-a] モデルの版権が特にないオリジナルなもの

[2-b]  キャラクターなどモデルの版権があるもの

に分かれていて、[2-b] にはナノブロックの互換品なども含まれます。私が思うには、[2-b] のほとんどの商品は版権をちゃんととっていないものではないでしょうか?

これらの商品は中国で生産されてタイに輸入されているようで、私が行った時には、廊下でせっせと箱詰め作業をしている風景も見られました。箱にいれると嵩張るので、商品と折りたたんだ箱を別々に搬送し、現地でパッキングしているんですね。私は過去に箱と中身が違う商品をつかまされたことがあります。

 

パッキングの様子

 

しかしこの [2-a] [2-b] の中には純正品では考えられないような面白いものもあるんです。以下、いくつか写真でご紹介します。

 

トランスフォーマーやアイアンマンなどのロボ

 

人気キャラクターたち

 

ミニフィグシリーズ

 

オリジナルモデルの店舗など

 

バイクシリーズ よくできてる

 

ファミコンMAC

アーキテクチャーシリーズ ポタラ宮とかノートルダム寺院

 

版権的にグレーな商品が、堂々と売られていてびっくりしてしまいます。店内にはガンプラなども売っている店があったのですが、そちらはすべて正規品でした。ここで売っている商品は、本当に多種多様ですが内容は玉石混淆で、色々見ていると頭がクラクラしてきます。興味のある方はバンコク旅行の際に、一度行ってみてください。

湯の森温泉

バンコクには日本のスーパー銭湯のような施設がいくつかあって、ゆっくり温泉につかって旅の疲れを癒すことがでいます。中でも私は「湯の森温泉」が好きで、今まで何度か利用させてもらっています。スクンヴィット店はMRTプロンポン駅から歩いて20分くらいのところにあります。暑いバンコクで歩くにはちょっと距離があるので、タクシーかトゥクトゥクで行くのがいいかも知れません。ここの店は露天風呂も広くて、湯上り後の仮眠室など充実しているので、おすすめです。


今回、サトーン店ができていたので、そちらにも行ってみました。こちらの店はMRTセントルイス駅から徒歩5分と非常に便利なところにあります。ビルの中の施設なので、露天風呂は狭くて外気浴が楽しめる程度のものですが、施設は新しくてきれいです。仮眠室もありますが、中庭を通っていった別の建物の2階にあるので、少しわかりにくいです。料金はどちらの店も、入浴だけで550バーツ。日本のスーパー銭湯と比べると、少し高く思ってしまいますよね。

 

今回、インド旅行のあとにバンコクに来てみるとまるで天国みたいでした。物価はちょっと高くなってしまったけど、何をするにもストレスがなく、食べ物も美味しくて、ショッピングや観光も楽しくて、ホテルも高級なのから値ごろなものまでよりどりみどりのタイ。一方、何をするにも色々な障害に出くわして、食べ物はカレーのようなものしかなくて、暑いのにレストランに冷房もなく、世界一ウザイと言われる人たちでいっぱいのインド。でも、今振り返ってみると、苦しい思いでばかりのインド旅行の方が、色々感慨深く思い出されるのは、初めての旅行だったからでしょうか?