悠久の風に吹かれて

Blowin' in the Eternal Wind

インド旅行6 コナーラクのスーリヤ寺院

コナーラクのスーリヤ寺院に向かいます

コナーラクのスーリヤ寺院

今日はコナーラクを観光します。コナーラクはブバネーシュワルの南東70kmに位置する地方都市で、ここに世界遺産に登録され、インド建築の最高傑作として有名なスーリヤ寺院があります。私の今回のインド旅行の目玉が、カジュラホとマハ―バリブラム、そしてこのコナーラクのスーリヤ寺院を訪れることです。ブバネーシュワルからコナーラクへはバスを乗り継いで行くこともでしますが、今回はタクシーをチャーターすることにしました。ホテルに問い合わせると半日チャーターして費用は2700ルピーとのことだったので、前日に予約しておきました。

 

8時30分にホテルを出発しました。チャーターしたのはスズキの小さな車でした。インドではスズキの車は人気があるようですね。整備されたハイウェイを1時間30分ほど走ってコナーラクに到着しました。車内から最初にスーリヤ寺院を目にした時はテンションが上がりました。遠方から巨大な寺院の上部がチラリと見え、予想外の規模に期待が高まったからです。

 

スーリヤ寺院の参道

 

ドライバーには駐車場で待ってもらって、寺院の入口へ行きました。平日にもかかわらず、入り口付近は参拝するインド人たちであふれかえっています。チケット売り場は20人ほどの列ができており、インド人に混じって私もそこに並んでいましたが、親切な人が「外国人はあちらでチケット買えるよ」と教えてくれました。示された方向を見るとチケット売り場の側面に外国人専用の窓口があって、そこには2、3人しか並んでいません。その人に礼を言い、そちらの窓口でチケットを購入しました。そこから寺院の入口ゲートに向かうのですが、例によって商魂たくましいインド人がついてきて、執拗にガイドの売り込みをしてきます。なんとかその攻撃をしのいで寺院の中に入りました。

 

スーリヤ寺院の本殿

 

スーリヤ寺院を遠方から見ると、本殿の基壇に12対の車輪がついており、それを7頭の馬が曳くような意匠になっていて、寺院全体がまるで古代の戦車のようです。車輪は直径約3mで、スポークの一つ一つに繊細な彫刻が施されており、見るものを圧倒します。実は私が若いころ Oriental Architecture の本の中でこの車輪の写真を見つけて、その重厚なデザインと精緻な装飾に感動し、その車輪の絵を自分で描いてみたことがあります。

 

車輪の彫刻

 

現存している礼堂とその上部のピダー・デウル(高さ38m)だけでも十分に巨大なのですが、もともとその隣に高さ60m以上とされる寺院の高塔(レカー・デウル)があったようです。過去の地震で崩れてしまって、今はなくなっており、基壇部分とその上に崩壊した構造物の一部だけがわずかに残っています。礼堂部分だけでも十分に見ごたえのある寺院なのですが、もしが高塔が残っている創建時の姿が見れたならば、どんなに素晴らしかったことでしょう。

 

側面から見た寺院

 

インドでは恒例になった感もありますが、ここでも何人かの人に呼び止められ、写真を撮ったり、話をしたりしました。柄の悪そうな強面のインド人の二人組に呼び止められたりもしました。その時は二言三言話してその場を離れようとしたのですが、ちょっとこっちに来いと観光客のまばらなところに連れて行かれ、インドでカツアゲされるのかちょっとビビりました。しかし、日本のことを根掘り葉掘り聞かれた後、デジカメで写真を撮ってあげると写りを確認したあと満足して去って行きました。それにしても日本人とデジカメがそんなに珍しいのでしょうか?

 

強面のインド人

 

スーリヤ寺院を観光した後は入口とは別の出口を通って、参道のようなところに出ました。そこではたくさんの露店が並んでいて、参拝した後でお土産を買うインド人で賑わっていました。早速セールスが来て、スーリヤ寺院のガイドブックを買えと言って売り込んで来ました。私は「英語が読めないので、もし日本語版があったら買うよ」と言って断りましたが、彼は「文字が読めなくても、写真見てるだけでも楽しいよ」となかなかあきらめません。さすがインド人。駐車場に戻ってドライバーと合流し、来た道を1時間半ほどかけて帰路につき、1時過ぎにはホテルに到着しました。

再びブバネーシュワル観光

ホテルでしばらく休憩した後、今日はオートリキシャで観光に向かうことにします。ホテル近所でリキシャを拾い、2kmほど離れたブラフメーシュワラ寺院へ行ってもらいました。

 

ブラフメーシュワラ寺院

 

昨日歩いて行ったラージャラーニー寺院の近くで、さらに南東の方にあります。ブラフメーシュワラ寺院は5堂形式(パンチャー・ラタ)の立派な寺院でした。5堂形式とは、寺院の本堂の対角上の四方に独立小祠堂を建てて寺院の構造を複雑化、荘厳化するものです。そのあとバスカーレシュワラ寺院に向かいました。こちらは単堂形式のシンプルな寺院です。シカラの形状が他の寺院とは違ってピダー・デウル(拝殿の上部)のようなデザインになっているのが特徴的です。

 

バスカーレシュワラ寺院

デジカメ禁止令?

そうこうしているうちに16時過ぎになりました。今日は昨日訪れたムクテーシュワラ寺院へもう一度行って、ライトアップされた様子を見に行こうと考えていました。ブバネーシュワルでは、夜間にライトアップされている寺院が結構あるようです。それで17時頃、ムクテーシュワラ寺院へ行って、夕暮れのマジックアワーを待つことにしました。しかし、ここで問題発生。デジカメを取り出して写真を撮影していると、昨日とは別の警備員が飛んできて、デジカメで写真を撮ってはダメだと言います。昨日、散々撮って何も言われなかったのに、そんばバカな!昨日のことを話して抗議しましたが、相手は頑として受け入れてくれません。デジカメはダメ!スマホならOKの一点ばりです。今までインドでそんなこと言われたことなかったし、なぜデジカメの撮影がダメなのか、理由も全くわかりません。しかし不承不承相手の言い分を受け入れ、スマホで撮影することにしました。

 

ムクテーシュワラ寺院の夜景

 

夕暮れを待っていると、1人の若いインド人が話かけてきました。彼は大学生で建築を勉強しているそうです。それで私がヒンドゥーの寺院が好きだと話すと、今いる寺院についての歴史や構造、彫刻のことなどいろいろ話してくれました。さらにブバネーシュワルの他の寺院のこともいろいろ教えてくれて、その話ぶりから彼がこの土地が好きで誇りを持っているんだなということが伝わってきました。そうこうしているうちに小雨が降ってきて、彼とは別れて雨のかからないところで待機していました。残念ながら、今日は夕焼けの写真はとれそうにありません。そして待っているうちに雨もやみ、ようやく寺院がライトアップされて、神秘的な景観があらわれました。デジカメを使えなかった腹いせに、スマホで写真や動画を撮りまくりました。でもやっぱりデジカメで撮りたかったなぁ。

 

沐浴池から見た寺院

嵐の中の帰還

ムクテーシュワラ寺院を後にして昨日と同じルートを歩いて帰ることにしました。昨日モデルさんを見かけた Bharateswara 寺院でもライトアップされているようなので、それを見て帰るつもりだったんです。

 

路上の礼拝所

 

しかし、突然雨が降り出してきました。雨足は激しく、しばらく木の下で待ってみましたが、やむ気配もなくどんどんひどくなるばかりです。その時たまたま近くを通りがかったオートリキシャを、なんとか呼び止めることができました。リキシャに乗るとドライバーは左右の開口部にビニールのカーテンを張ってくれました。そのうち遠くから雷鳴も聞こえ始め、稲妻もあちこちで光るようになりちょっとした嵐のようです。リキシャに乗れて本当によかった。ホテルの前の道路はまるで洪水のようで、深さ10cmくらいの川が流れています。部屋でシャワーを浴びたあと、昨日のホテルのバーへ行って夕食を食べました。

 

ホテル前の冠水