悠久の風に吹かれて

Blowin' in the Eternal Wind

ブリハディーシュワラ寺院(ガンガイコンダチョーラプラム)

Brihadisvara Temple (Gangaikonda Cholapuram)

ブリハディーシュワラ寺院はクンバコーナムの北方35kmのひなびた村、ガンガイコンダチョーラプラムにある大規模な寺院で、ラージェンドラ1世によって11世紀に建てられました。

旅行記の方でも説明しましたが、ガンガイコンダチョーラプラムとは日本人には聞きなれない名前です。これはタミル語で「ガンジス川を征服したチョーラの都」という意味だそうです。ラージェンドラ1世はそれまでの首都タンジャヴールとは別個にガンガイコンダチョーラプラムをチョーラ朝の新首都として建設しました。そして、父親である先王ラージャラージャ1世が建設したブリハディーシュワラ寺院に対抗して、同名の寺院をここに造営しました。ガンガイコンダチョーラプラムにはかつて首都であった面影はありませんが、もう一つのブリハディーシュワラ寺院は。現在でも燦然と輝いています。

 

ブリハディーシュワラ寺院 平面図

 

東西約184m、南北約109mの境内は高さ5mほどの周壁によって囲まれています。ゴプラムはタンジャヴールの寺院のように大規模に発展したものではなく、左右が独立して装飾もあまりないシンプルなものです。

 

 

 

 

ゴプラムの奥に高さ10mくらいの金色のポールがあります。これは、昔の写真には写っていないので、最近再現されたもののようです。その向こう側にナンディ像がありますが、吹きさらしになっています。

 

そして長大なマンダバ(前殿)がありその向こうに高さ51mの聖堂がそびえ建っています。

 

 

 

 

マンダバはもともと聖堂とおなじく2層分の高さがあったようですが、一度崩落してしまい、後に1層分だけが再建されたそうです。そのため、再建された部分は装飾の彫刻がなく、のっぺりしたものになっています。

 

 

聖堂は上に行くに従って、微妙な曲線を描くようになっています。このことからこの寺院が女性的と言われています。確かに日本の寺院の屋根のような、優美さがありますよね。インドや東南アジアなどの迫り出し工法の寺院では、通常の搭状建築物の外観は紡錘形になるのですが、これを逆紡錘形(?)にするところに高度な建築技術があるように思います。

 

 

 

 

下図はブリハディーシュワラ寺院(タンジャヴール)の博物館にあったパネルですが、2つの寺院を比較したものになっています。パネルの一番上にある2つの寺院の写真は、聖堂の形状の違いを分かりやすく示しています。

 

 

聖堂細部の彫刻です。ずっと見てると頭がクラクラしてきます。この過剰さは何なのでしょうか?私は勝手にインドバロックと呼んでいます。

 


聖堂の1層目、2層目には様々な神々の彫刻が設置してあります。それぞれ味わい深いものがたくさんあります。

マンダパの入口です。再建されたもののせいか、結構あっさりしています。

 

 

 

マンダバの内部の柱には細かな彫刻が残っているので、創建当時のものが残っているのでしょうか。

 

 

カイラーサ北祠堂

 

 

 

ナンディー像

 

少し離れたところからの寺院全景

 

 

私が訪問した時は、平日の午前中で観光する人も少なくて静謐な雰囲気でした。こんなすばらしい遺跡があまり知られていないのは交通の便が悪いからでしょうか。インドにはこんな寺院がまだまだたくさんあるようです。